おおやま夢工房




全国品評会で連続金賞を受賞。
梅の郷・大山町が誇る熟成梅酒。

★九州一の梅の産地、日田市大山町

大玉で皮が厚めの「鶯宿梅」は、エキスが豊富でキリッとした酸味が特徴。美味しい梅酒になる。 ■大玉で皮が厚めの「鶯宿梅」は、エキスが豊富でキリッとした酸味が特徴。美味しい梅酒になる。

北部九州を潤す筑後川の本流は、大分県日田市の大山町を流れる大山川。鮎も泳ぐその渓流に沿って、日田市街から10kmほど行った山間に、見事な梅林が広がっている。もともと稲作に不向きだった地勢から、1961年、当時の大山町は町ぐるみで梅の栽培に着手。56年経った今、その施策は約6,000本の梅の木とともにすっかり大山に根付き、九州はもちろん全国に知られる梅の一大産地となった。

「私は2代目です。『梅を育ててハワイに行こう』という町が掲げた標語とともに、父が梅栽培を始めました」そう語ってくれたのは川述 知治(かわのべ ともはる)さん。地元で会社勤めをしながら梅農家の組合には積極的に関わり、全国の産地を視察するなど、大山の生産性向上に努めてきた。そして知治さん定年までの間、ご両親とともに梅林を守ってきたのは奥様のまさ子さん。
「21歳で嫁いできて、子どもが保育園に行き始めてからはずっと梅の世話に携わっています。結婚25周年のときには標語どおりハワイへ連れて行ってもらいました」と、まさ子さん。今も約50アールの畑に毎朝出向き、時期に応じた手入れを欠かさない。


★100%地元産の梅だけで極上リキュールを作る

「おおやま夢工房」で1日5,000本分を製造。タンクからろ過を経てビンに充填されていくクリアな梅酒 ■「おおやま夢工房」で1日5,000本分を製造。タンクからろ過を経てビンに充填されていくクリアな梅酒
充填、キャップ締め、温水洗浄を経て検壜(びん)へ。壜の状態と異物混入などをチェック ■充填、キャップ締め、温水洗浄を経て検壜(びん)へ。壜の状態と異物混入などをチェック

川述さんのような梅農家の方々が手塩にかけて育てた“最高の梅”で新たな特産品を作ろうと、1998年、梅林に囲まれた高台に梅酒工場が誕生した。それが「おおやま夢工房」である。めざすは“最高の梅酒”。材料には梅の風味を引き立てる、純度が高く無味無臭の醸造アルコール、そして梅を傷つけにくい液糖を使用。お酒の専門的技術を持つニッカウヰスキーと技術提携を行い、こだわりの梅酒作りが始まった。

もともと大山で多く栽培されていた梅は「鶯宿梅(おうしゅくばい)」という、千年以上の歴史を持つ品種。しかし次第に、梅干し作りに適していた「南高梅(なんこううめ)」が梅林の大半を占めるようになり、鶯宿梅は目に見えて減っていった。そんな鶯宿梅が、梅酒製造において再び注目を浴びることとなる。大玉で酸味が強いこの実が、キリッとした梅酒を作るのに非常に向いていたのだ。梅農家にとっても、使い途に困っていた鶯宿梅を活用してもらえることは、とてもありがたかったと、川述さんたちも振り返る。



★朝摘んだ梅が、午後には工房のタンクへ

梅酒の味を決める手嶋靖久さん ■梅酒の味を決める手嶋靖久さん

この工房で11年前から技術顧問を務める手嶋 靖久(てしま やすひさ)さんによると、樽で熟成させることにより、より高付加価値の商品ができるのではないかと思い、研究をはじめたそう。もともと提携先のニッカウヰスキーの研究者だった手嶋さんにとって、梅酒はあまり馴染みのない領域だった。が、すぐに高品質の梅から、産地ならではのお酒を作り出す仕事に夢中になっていった。また素材の出来不出来などを農家の方からじかに聞ける、フランスのワイナリーのような生産者との距離感にも惹かれた。

「品種によって熟成期間を微妙に変えたり、糖度や酸度、色を比較して好まれる味を決めたり、地域と一緒に梅を育てて、それを商品にできる面白さは格別。さらに自分がおいしいと思ったものが多くの方に喜ばれるのだから、幸せな仕事です」(手嶋さん)

★国内の品評会で2年連続金賞を受賞

2015年度に金賞を受賞した「樽仕込高級梅酒ゆめひびき」 ■2015年度に金賞を受賞した「樽仕込高級梅酒ゆめひびき」

こうして、梅の品種や質にこだわった産地ならではの梅酒作りは着実にファンを増やし、10年前フランスで開かれた「ボルドーワイン祭り2006」では海外バイヤーからも大絶賛。2009年には世界リキュールコンテストで金賞を受賞、さらに全国梅酒品評会では醸造アルコール梅酒部門において、2015年度、2016年度と2年連続で金賞を受賞。今や国内外から注目を集める梅酒となっている。

世界で金賞、日本で金賞の2冠を受賞したのは、「ななつ星in九州」の車内でも提供している『樽仕込高級梅酒ゆめひびき』。そして翌年『梅花爛漫(ばいからんまん)プレミアム』というブレンド酒が審査員たちをうならせた。
『ゆめひびき』は、鶯宿梅を使った梅酒を3年間熟成させた後、ウイスキー樽でさらに2年間寝かせたもの。梅酒の爽やかさに、オーク樽からのスモーキーな香りが程よくプラスされ、なんとも贅沢な味わいが口に広がる。
『梅花爛漫』は、それに鶯宿梅の3年熟成酒をブレンドしたもの。ゆめひびきよりも梅酒の味が強めに主張してくる。


このほか、町内で無農薬栽培されている食用薔薇から抽出したエキスをブレンドした『薔薇梅酒』や、南高梅を使った『こだわり梅酒』、ブルーベリーを漬け込んだ『ブルーベリー梅酒』など、そのラインナップは実に多彩。
おおやま夢工房が営む「梅酒蔵おおやま」を訪ねると、無料試飲や製造過程の見学のほか、個性豊かな梅酒をはじめ、梅干し、梅ジャム、梅ドレッシングなどさまざまな梅製品が並ぶ。まさに“梅の里”で生まれ育った本格梅酒なのだと、改めて実感させられる。
手嶋さんによると、近々貯蔵樽を増やしていく予定とのこと。今後さらに魅力あふれる梅酒が生み出されそうである。