ホテルオークラ福岡

博多文化に酔いしれる、
一流ホテル渾身のクラフトビール

☆地域に根ざし、文化を発信するホテル

その歴史は6世紀頃にまで遡ると言われ、かつては外交の拠点として大陸文化の影響を受けて、大きく栄えたまち――博多。全国的に知られる「博多祇園山笠」や「博多どんたく港祭り」などの“まつり”、そして博多織や博多人形などの伝統工芸品に見られるように、このまちの歴史文化は今もなお色濃く残っている。

清楚にして優雅な空間を提供する「ホテルオークラ福岡」 ■清楚にして優雅な空間を提供する「ホテルオークラ福岡」

福岡県福岡市博多区。独特の文化を形成しながら、国際都市として賑わうまちの中心にそびえ立つ、清楚にして優雅な大建築、「ホテルオークラ福岡」。言わずと知れた、日本を代表する老舗ホテルグループのひとつだ。一歩足を踏み入れると、伝統の名を冠するホテルに相応しい高級感と安心感だけでなく、どこか懐かしさや奥ゆかしさを感じ取ることができる。この心地良い違和感はどこから来るものだろうか。

「ホテルオークラ福岡」代表取締役社長 水嶋 修三さん ■「ホテルオークラ福岡」代表取締役社長 水嶋 修三さん

「文化の香りのするホテルを目指しています。」代表取締役社長 水嶋 修三(みずしま しゅうぞう)さん(以下、「水嶋社長」)の言葉に、その答えはあった。夏場にはホテルのロビーに、博多の夏の風物詩「博多祇園山笠」に登場する大黒流(だいこくながれ)の「舁き山(かきやま)」が展示されるほか、ホテル横を流れる博多川を小舟で上り、古くより博多の氏神・総鎮守である櫛田神社で神社式を挙げる婚礼プラン「花嫁舟」など、このホテルからは博多の伝統的な文化の香りを感じ取ることができる。
「その他にも、能楽師を招いたパーティーや、地元アーティストのロビーコンサートなどを開催し、地域に密着した文化体験ができる場所でありたいと考えています。」と、水嶋社長は笑顔で語ってくれた。

夏季には大黒流の「舁き山」がロビーを賑わす ■夏季には大黒流の「舁き山」がロビーを賑わす
博多織をモチーフに、博多川の水面と麦畑を吹き抜ける風を表現したボトルラベルが特徴のクラフトビール ■博多織をモチーフに、博多川の水面と麦畑を吹き抜ける風を表現したボトルラベルが特徴のクラフトビール

そして、ホテルオークラ福岡にはもう一つ、新たな博多の文化となり得る逸品が存在する。伝統工芸品“博多織”をモチーフにしたラベルが特徴的な「クラフトビール」である。

☆地階に息吹く小さなマイクロ醸造所ブルワリー

ホテルオークラ福岡の地階には、思いもよらない光景が広がっていた。ビール醸造用の銅釜が3基、ステンレスの発酵タンクが4基、そして熟成タンクが12基と、ビール工場をぎゅっと凝縮したような小さな醸造所(マイクロブルワリー)が佇んでいる。

地階に息吹く醸造所 地階に息吹く醸造所 ■地階に息吹く醸造所

ビールづくりの歴史は、ホテル開業の1999年3月にはじまる。ホテルオークラグループの企業理念「ベスト A.C.S」[Accommodation(最高の施設)、Cuisine(最高の料理)、Service(最高のサービス)]の実践形として、「料理の引き立て役となる、地域密着のクラフトビールをつくろう」と一念発起したのが始まりだ。しかし当時の時代背景は、新たにビールづくりに参入する者たちとっては、決して容易い環境ではなかった。一時代のトレンドとなった地ビールブームが沈静化し、人々が地ビールに抱くイメージ、「苦い、ぬるい、気が抜けている」、そして「高かろう、悪かろう」が世の中に浸透した、地ビール氷河期からの出発だったのである。

館内の全てのレストランで、博多ドラフトが楽しめる ■館内の全てのレストランで、博多ドラフトが楽しめる

ビールづくりの素人たちは、大手ビールメーカーの協力を得ながら、日本全国の地ビールを研究し、「クラフトビールをうたいながらも個性を抑え、その品質で勝負するビールをつくろう。そして、味、のど越し、その深みによって個性を出せることを示そう。」という指針を定め、お客さまの笑顔のために、大きく舵を切った。その努力の結晶こそが、博多のまちで愛されるクラフトビール「博多ドラフト」だ。


職人ブラウワーの手間ひまが育む究極のクラフトビール

醸造責任者の庄子さん ■醸造責任者の庄子さん

「現在は3種類の味を瓶に詰めて、『博多ドラフト』というブランドで販売しています。“アルス”、“シェーンアルト”、“ダイコク”の3種類です。」そう答えたのは、ホテルオークラ福岡でブラウワー(ビール職人)として働く、庄子 孝平(しょうじ こうへい)さん。元々はホテル館内で提供するためだけに生産を始めたクラフトビールだったが、着実にファンを増やし、いつしか多くのお客さまの「持ち帰りたい」という声が多く聞かれるようになった。その要望に応えるため、2008年から瓶詰めして販売することとなったのだ。

当初の苦労話を懐かしむ太田さん ■当初の苦労話を懐かしむ太田さん

「生産を始めた頃は、まずは地元のお客さまのニーズに応えるためにと、試行錯誤の毎日でした。その完成形が現在の3種類です。」と、生産を始めた当初を懐かしむように語ってくれたのは、同じくブラウワーの太田 弘和(おおた ひろかず)さんだ。

シャルドネを思わせる芳醇な香りと爽やかな苦味で、すっきりとした味わいが特徴の「アルス」。美しい赤褐色に鮮やかなコクと苦味を合わせ持つ「シェーンアルト」。博多祇園山笠の“大黒流(だいこくながれ)”をモチーフに、口当たりは甘く、含めば苦く、のど越しは重い、珈琲ビターな香りが特徴の「ダイコク」。博多のまちで愛され続ける3種類のビールはどのようにつくられているのだろうか。

香ばしい香りが特徴のカラメルモルト ■香ばしい香りが特徴のカラメルモルト
ラベル貼りも1本ずつ大切に、3人のブラウワーが行う。 ■ラベル貼りも1本ずつ大切に、3人のブラウワーが行う。
庄子さんの丁寧な作業から、ビールにかける情熱が伝わる ■庄子さんの丁寧な作業から、ビールにかける情熱が伝わる

「うちではドイツ産の厳選した5種類の麦芽を使っています。それらをビールのスタイルにあわせて、配合の割合を変えています。例えば、シェーンアルトにはカラメルモルトという香ばしい麦芽を多く使い、全部で3種類の麦芽をブレンドします」と美味さの秘密を庄子さんは教えてくれた。麦芽の粉砕から醸造、さらには瓶のラベル貼りまで全てを手作業でこなすのが、ホテルオークラ福岡のブラウワーの流儀だ。

博多ドラフトの年間醸造量はわずか60キロリットル程度で、これは大手ビールメーカーの1時間の醸造量にも満たない量である。全てを手作業で行うという、究極の手間ひまと、そこに込められた職人(ブラウワー)たちの想いこそが、「博多ドラフト」が博多のまちで愛される真の理由ではないだろうか。これら3種類の「博多ドラフト」は、日本地ビール協会(JCBA)主催のコンテストで全て金賞を受賞していることも特筆しておく。

☆博多ドラフトが演出する、「ななつ星」くつろぎのバータイム

ななつ星で世界中のビール愛飲家に感動を与える博多ドラフト(車内提供はシェーンアルト) ■ななつ星で世界中のビール愛飲家に感動を与える博多ドラフト(車内提供はシェーンアルト)

「博多ドラフト」は、博多の文化を発信するという大役を担い、九州を周遊する「ななつ星」のバータイムで輝きを放つ。「歩み入る者にやすらぎを、去り行く人にしあはせを」というサービス哲学をもった一流ホテルが、手間ひまをかけて醸造した渾身のビールが、世界中の旅人たちに驚きと感動を提供しているのだ。